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友達以上恋人未満/直樹の思い
信じられないことが起きた──
ただ今俺は「押してダメなら引いてみな」作戦を実行中。
祐飛の事が心配で毎日のように放課後は祐飛の学校に迎えに行ってニ人で帰っていたんだけど、いくら俺がアピールしても祐飛の態度は変わらない。だから友達に相談してみたんだ。
今の現状を話したら、俺の事をストーカーだって言いやがった。俺が祐飛に構いすぎだからありがたみもクソもないって……おまけにそんな付きまとっていたら嫌がられるのも時間の問題だって言われてしまった。
それを聞いて血の気が引いた。
友達から親友、やっと俺の事を大切な親友だって言ってくれたのに嫌われてしまっては元も子もない。だからその友達のアドバイスに従って、ちょっと祐飛と距離をおくことにしたんだ。
俺からは連絡もしない。
迎えにもいかない。
勿論祐飛の方から連絡が来て「迎えに来て」とか言われれば飛んでいくよ。でも俺からは連絡しない。メールもしない。
そう決意して早一週間……
なんで祐飛は俺に連絡くれないんだよ!
声が聞きたい。
会いたい。
触りたい。
抱きしめたい……
……キスしたい!
超寂しくて悲しくて悶々ムラムラと震えてたら電話が鳴った。出てみたら聞き慣れた大好きな声、驚くことに祐飛の方から電話をしてくれた!
信じられない! 超嬉しい!
おまけに周さん達のライブに誘われた。
『渡瀬先輩が、橘先輩達のライブあるから直樹君も誘って一緒に行こうって言ってるけどどうする?』
電話口から聞こえる祐飛の明るい声。
どうするもなにも! 竜太君ナイスアシストです!
「俺、竜太君大好き! なんなの嬉しい! 行くに決まってんじゃん! やったぁー!」
俺は感激しきりでガッツポーズを決め、ベッドの上でジャンプする。
『わかったから……オッケー、行くのな? 直樹うるさいよ、聞いてる? 騒ぎすぎだから……』
途端に不機嫌そうになってしまった祐飛の声に我に返った。
「あ! 竜太君好きって、違うからね? 俺が大好きなのは祐飛だからね? 心配しないで……」
『わかってるよ! うるさいって言ってんの。じゃまた連絡する』
用件だけ言ってすぐ切っちゃった……
でも今「わかってる」って言った。通話が終わってしまった携帯の画面を眺めながら、俺は笑いながら溜め息を吐く。
そうなんだよな。
俺の気持ちはちゃんと祐飛に届いてるんだ。
やっぱりどうにももどかしいな……
祐飛とのツーショット写真のロック画面。携帯の画面に向かい「好きだよ……」と声をかけつつ、俺はベッドに潜り込む。
今の関係が心地よい?
これ以上を望むのは贅沢?
それでももっと求められたい。
友達じゃ物足りない。
でもこれ以上踏み込む勇気は俺にはないんだ。
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