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第二校舎裏

昼休み、僕は弁当を持って康介のクラスへ向かった。そして屋上へ行って周さんと修斗さんと一緒に昼休みを過ごすんだ。クラスを覗くと教室の一番後ろの窓際の席で、康介はまだブートニアを作っていた。 「ねぇ、もしかしてまだ終わらないの?」 背後からそっと声をかけると康介は半泣きで振り返り「こんな難しいのは無理だ!」と喚き散らすから手伝ってあげた。 「誰も手伝ってくんねえし、説明書見る前に全部開けちゃったからどれがどの部品だかわかんねえし、茎の部分にテープ巻くのだって花弁の部分にくっついちゃって剥がすの大変だし……そもそも何で手作りなんかしなきゃなんねえの? 俺不器用なんだよ。いや、そうでもないって思ってたけど認めるよ! 俺は超絶に不器用なの!」 「わかったから……そうだよね。ちょっと難しかったよね。これが修斗さんにあげるものならもっと頑張れたよね」 「ほんとだよ! どこのどいつにやるのかもわかんねえのに! まったくもうっ!」 プンプン怒っている康介を慰めながらなんとか完成させ、急いで二人で屋上へ向かった。 「あれ作りながらさ、なんか修斗さん卒業しちゃったら昼飯一緒に食べたり出来ないんだなって……毎日のように顔見れてたのが見られなくなるんだなって、段々寂しくなってきちゃってさ……余計に手が進まなかったよ」 そうだね…… 僕も寂しいなって思いながら作ってた。 康介は陽介さんが卒業した時だってあんなに大泣きしてたんだ。修斗さんが卒業する時はどんなになっちゃうんだろうかと本気で心配になってしまう。 「学校では会えなくなるだけで、僕らは何も変わらないから。笑顔で卒業お祝いしてあげようね」 そう言って、僕は康介の肩を軽く叩いた。 屋上のドアを開けると、奥のいつもの場所に周さんの姿が見えた。でもそこに修斗さんの姿はない。 「あれ? 修斗さんまだなのかな?」 歩きながら康介にそう言うと、康介も首を傾げる。 周さんは僕に気がつき、嬉しそうに手招きをする。僕もそんな周さんの姿に嬉しくなって足を速めた。 「周さんお待たせしました。修斗さんはまだなんですか?」 隣に座り弁当を出しながらそう聞くと、周さんは意地悪そうな顔をして康介を見た。 「修斗ならさっきまでいたんだけどよ、二年に呼ばれて第二校舎裏に行ったぞ」 「は? 何それ! 何で二年が?……呼ばれたって何の用?」 康介が突っ立ったまま、ドアの方を振り返る。 「名前忘れたけど、何とかって奴が第二校舎裏で待ってるから行ってやってくれって言われて、そいつと一緒に出て行った」 「だから! なんでそういうの一人でノコノコ行かせちゃうのかな! 周さん何で止めねえの?」 康介は凄く心配そうだけど、周さんはそんな康介とは逆にヘラヘラと笑っている。 「大丈夫だろ。別に悪そうな奴じゃなかったしお礼参り的なもんじゃねえと思うぞ」 お礼参りって…… 「もう! 周さんの役立たずが!」 康介はまたプンプンしながら周さんに怒鳴ると、屋上から出て行ってしまった。 「……康介の奴、俺が修斗のボディガードか何かと勘違いしてねえか? 役立たず!とか言って、俺は知らねっつうの」 周さんは半分笑いながら、僕の弁当の卵焼きをつまみ食いする。 「でも、大丈夫なんですか? 康介が心配するのはしょうがないですよ」 「大丈夫だろ。雰囲気からして告白とかそっち系だろ……」 は? 告白?? 「おかげで竜太と二人っきりだ。俺にも弁当ちょうだい」 「………… 」 まぁ、康介が行ったから修斗さんはいいとして…… 「もう周さんったら。はい、周さんも食べると思って多めに作ってあるから遠慮なくどうぞ」 少し気になるけど、周さんが大丈夫って言うなら大丈夫だよね。

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