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いてくれてよかった
只今絶賛康介号泣中……
CDをかけたらやっぱりあの時のライブのCDで、最後のあの曲に差し掛かる頃にはもう康介から嗚咽が漏れていた。
本当、泣き虫なんだから。
そして今まで気がつかなかったけど、CDがあるってことは動画なんかもあるんじゃないかと携帯で検索してみたら、やっぱり以前のライブの映像が存在していて、それを二人して鑑賞していて今に至ります。
「ヤバイよ……俺感動しちゃってもうだめ……歌の練習どころじゃない。今日はね、練習いいや……竜、俺、圭さんに会いたくなっちゃった。寂しいよぉ。絶対俺には遠距離恋愛は無理。兄貴すげえな……寂しくないのかな」
メソメソしながら、それでも興奮状態な康介が喋りまくる。
寂しがり屋の心配性。
でも僕も遠距離恋愛はきっと寂しくてダメかも。
「陽介さんも圭さんも、凄いよね。やっぱりあの二人は憧れちゃうや」
「ああ、クソ兄貴だけどな。辛そうにしてる時もあるけど、でも強いよな」
僕と康介は遠く離れた圭さんに思いを馳せながら布団に入る。
「結局ライブ映像楽しんだだけで練習できなかったな。でも上手く歌えるかな? 修斗さんも周さんもめっちゃ上手いのに、俺ら無謀じゃね? 喜んでくれるかな?」
顔を半分布団に隠しながら、ボソボソと康介が言うから笑ってしまった。だって今更だよね? それ僕最初に言ったじゃん……
「歌のプレゼントだ! って最初に言いだしたの康介だよ。僕らが下手なんてわかりきってる事じゃん。でも喜んでくれるよきっと」
「うん……でもなんか不思議だな。俺、高校入って男と付き合うなんて思ってもなかったよ。憧れの気持ちからこんなに好きだって思うようになるなんてさ」
恥ずかしいのか、もうすっぽりと布団に潜った状態で康介が話す。
「……今までの恋愛がなんだかクソみたいに思える。やっと本当の恋愛を知った気分」
それは言い過ぎなんじゃない? 康介の事が好きだった女の子だっていたはずだよ。クソって……
「康介、極端だよね。僕は周さんしかわからないから何とも言えないや」
僕は康介と違って比べる対象がないから……人を愛するという経験がこの一つしかないから、「本当の恋愛」なんて言われるとわからなくなる。
それでも……
「男の人を好きになった事、間違いだったなんて思わないし、こうやって康介とこういう話ができるのが凄く嬉しいよ」
相談できる相手、愚痴が言える相手がいる事がどんなにありがたいか……周さん達が卒業しちゃったら、寂しいしきっと心細くもなると思う。
「康介がいてくれて……よかった」
僕がそう言うと、パッと布団から顔を出す康介が真っ赤になってまた潜ってしまった。
「恥ずかしい事言ってんなよ。照れんだろ!」
ふふ……
康介だって珍しく素直な事言ってたじゃん。
「康介大好きだよ。これからもよろしくね。おやすみ……」
「……!! 恥ずかしいったらもう! からかうなよ……おやすみ!」
二人して布団に入っておやすみを言ったけど、結局またお喋りを始めて夜更かしをしてしまった。
周さんとの事、修斗さんとの事、お互いの将来の事……沢山話した。
康介が泊まりに来るのだって久し振りだし、こうやってじっくりと話す機会もなかったから嬉しかった。
今日の事は周さん達には内緒ね……と二人で約束をして、今度こそ眠りについた。
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