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周さんのせいなんだからね
「え?……どこに?」
乱れてしまったズボンを直しながら、体を起こした。もう車は走り始めている。
「どこって、ホテル。今日は卒業のお祝いに竜太にサービスしてもらいてぇもん。ちょっと休憩しよ?」
「え? それならこんな車の中でしなくてもよかったんじゃ…… 」
あんな風に車の中で……
先程の恥ずかしかった光景が頭に浮かんで、一度おさまった熱がまた振り返してくる。
「いいんだよ。恥ずかしがってる竜太にイタズラするのが興奮するんじゃん」
「イタズラって! ……もう! 意地悪っ!」
僕はまた足を摩ってくる周さんの手を、わざとピシャリと叩いた。
「あ…… 」
叩いた手を周さんに掴まれる。
指と指を絡ませながら優しく握り合うお互いの手のひらが温かくて、なんだかフワフワとした気持ちになった──
「周さん……卒業おめでとう」
僕はベッドに座る周さんの膝の上に跨り、抱きつきながらキスをする。
ゆっくりと周さんの手が僕の背中から滑り降り、後ろに回った。僕は舌を絡めながら周さんの手の行き先に期待する。
「んっ…… 」
周さんの指先が、先程自分で少しだけ解したそこへスルッと触れた。くるくると円を描くようにその周りを指が這い、勿体振る様にその辺りで蠢く。
「や……周さん……触って……ください」
唇を離し周さんに強請る。
「だめ。まだ触ってあげない。ほら竜太……こっちおいで」
周さんが僕を膝に跨らせたままゴロンと横になる。そこに覆いかぶさるように僕は周さんに上から抱きついた。
「違う……こっち。俺の方にケツ向けて……」
「え、それ恥ずかしいから嫌です……」
前にも何度かしたことがある。
周さんの顔の上に跨るのがどうしても恥ずかしくて未だに抵抗があった。
「だめ……今日は竜太にいっぱいいい事してもらうんだから。俺のもしゃぶってよ……ほら」
周さんの腰に巻いたタオルがもうはだけている。
僕は諦めて体を横にし周さんのそれを手で撫でた。
「あっ……待って! ひゃ……んっ、あっ……」
腰を捕まえられ、しょうがないのでおずおずと周さんの顔に跨る。途端に周さんに恥ずかしいところを舐めあげられ、変な声が漏れてしまった。
「旅行までお預けだからな。たっぷり竜太を堪能させて……」
旅行まで……って、出発は明後日だし!
「あ、あん……周さん……気持ちいい。もっと……もっと触って…」
「竜太……エロっ…… 」
あっという間に恥ずかしさよりも気持ちよさが勝ってしまった僕は、周さんに強請りながら腰を揺らした。
初めの頃は声が出ちゃう事すら恥ずかしくて、周さんに見つめられるだけで果てそうになったり、余裕もなくて……とにかく自分がはしたなくイヤらしい事を隠したかった。
でも今ではどうだろう。
自分から気持ちいい場所を求めて腰も振ってしまうし、恥ずかしい事も平気で言えちゃう。抵抗がある事でも、すぐに周さんに弄られ囁かれればどうでもよくなってしまう。
「んっ……周さんのせい……なんだからね」
「……??」
僕は周さんから降りると、自分から足を開き両手を広げる。
「早く……早く周さんの……僕に挿れて…」
「竜太、大胆」
グッと抱きしめられた僕は周さんの背中に腕を回した。
「あっ! あぁっ……んっ……」
僕に煽られたのか、いつもよりも激しく周さんの律動を感じる。
僕の頭を抱きかかえるように抱きしめるから、周さんの熱い吐息が耳にかかりぞくぞくとした。
明日は三年生のいない修了式……
それが終われば春休みになる。
短い春休みが終わったら、いよいよ周さんのいない学校生活が始まるんだ。
「周さん……寂しい。やっぱり僕、周さんいないと寂しい」
周さんの腕枕に抱かれ、僕はその胸に顔を埋める。
「……うん。少しは寂しがってくんなきゃ俺も寂しい。大丈夫だよ。俺、仕事でいない時もあるかもしれないけど、いつでも鍵使って部屋入っていいからな。てか毎日でも来てくれていいから」
周さんが優しく抱きしめてくれる。
「ゆっくりこのままもう一回抱きたいところだけど……そろそろ帰るぞ。竜太は明日も学校だもんな。あんま遅いと母ちゃん心配するから。ほら着替えるぞ」
「やだぁ……もうちょっと一緒に。あ……待って、もうっ…… 」
周さんはあっさりとベッドから離れると着替え始めてしまったので僕も慌てて支度をした。
周さんに家まで送ってもらい、別れ際車の中でキスをする。
「じゃ、明後日な」
「はい。お休みなさい……今日はありがとうございます。気をつけて」
名残惜しく、車が角を曲がるまで周さんを見送った。
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