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スタートライン

修了式── 体育館へ全員が並び校長先生の話を聞いている。 三年生が卒業し、一年生と二年生しかここにいないからか、いつもの体育館も少しだけ広く感じた。 特に何も変化もなく、今まで通りの三年間をこの学校で過ごし、そして僕は当たり前に卒業していくんだと漠然と思っていた入学式。楽しくもなく、つまらなくもなく時が過ぎていくものだと信じて疑わなかった。 それが高校生活が始まってすぐ、180度変化した。 僕にとってあの出会いは事件…… 去年の僕は、好きな人がいるだけで、大好きな仲間がいるだけで、こんなにも毎日が楽しいんだと初めて知った。そしてそんな事も知らなかった自分にゾッとした。 周さんが卒業して寂しい……でも周さんと付き合ってからの二年間で僕は沢山のことを知ることができた。 自信もついた。 はっきり言ってまだ実感が湧かなかったところがあるけど、今日ここに立ってようやくわかった。 今日、僕はまた新たなスタートラインに立つ。 僕の高校生活はまだ終わらないけど、今までとは全く違う世界のスタートライン。 大袈裟かもしれないけど、そのくらい僕にとっては大切なことなんだ。 これから先、どういう未来に辿り着くかなんてわからないけど僕はもう一人じゃない。周さんと一緒に歩む僕の人生。 これから何度もこうやって新たなスタートラインに立つことがあると思う。 でも一人じゃないんだ。 周さんも傍にいる。 僕はスタートラインに立つ度に、自信を持って胸を張るんだ。 周さんとずっと一緒に、二人で笑っていられるように…… とりあえず── 今日は帰ったら周さんのアパートに行って、僕の進級祝いをしてもらおうかな。 end…

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