362 / 377

卒業旅行/微酔

何ですました顔して風呂入ってんだ? てか、いつからそこにいた? 見られた……って、修斗さんまだ俺の上に跨ってるし! 超混乱! 「な……! なんで竜が? え?? いつからそこにいんの? へ? 何で??」 修斗さんもやっと振り返って竜の方を見た。 「目が冴えちゃって。康介達が楽しそうだったから僕も来ちゃった」 来ちゃった、じゃねえだろ! 普通友達がいちゃいちゃしてたら遠慮しねえ? 「いやいやいやいや! 来ちゃったって! 待って!……え? え? だからって……この状況、何? ……えぇぇ??」 修斗さんは俺の慌てっぷりに爆笑してるし、え? 俺がおかしいの?? 気づいたら修斗さんは竜の隣に行ってしまった。 「………… 」 でも何だかこの光景は…… 何と言うか、ほんのり赤くなってる竜と修斗さんが並んで湯に浸かってるのがエロいというか色っぽいというか……竜も修斗さんと同じくらい色が白くて綺麗な肌。 うん、悪くない……かも。 少しだけ冷静になった俺は、修斗さんと竜の会話に耳を傾けた。 「竜太君、もしかして酔っちゃったの?」 「酔ってません!」 「ふふ……さっき俺の食べたでしょ? あれブランデーケーキだもん。ちょっとお酒強かったよね。でもほんとお酒弱いんだね。可愛い」 「だから! 酔ってませんもん、もー! 修斗さん意地悪!……そんな修斗さんはこうしてやるっ! こちょこちょ…… 」 「おっ? やめろって! はは、マジでくすぐったい! 竜太君……ひゃ……んっ…」 「………… 」 あぁ、成る程ね。 あれは酔っ払ってるからか。 空気の読めないおかしな行動をしている原因がやっとわかった。確かに修斗さんが買ってたブランデーケーキ、俺もひと口食べたけどアルコール強いなって思ってた。修斗さんは竜に食べられないように避けてたはずなのに、ちゃっかり食っちまったんだな。 ……甘いものに目がない竜らしいや。 俺は修斗さんと竜が裸でちちくりあってるのを、ちょっと複雑な気持ちでぼんやり見つめる。 「ちょっと! 康介なんで僕の顔見て笑ってんの?……変な顔!」 露天風呂で温まったせいなのか酔っ払ってるせいなのか、真っ赤な顔をしてプンプンしている竜が面白くて吹き出して笑うと、怒った竜にバシャバシャと湯をかけられた。 「ほら、やめろって。いくら個室の貸切露天風呂だっていっても、騒いで煩くしたら迷惑だろ? 修斗さんも竜も! はいはい、そろそろ出るぞ」 いつもはしっかりしてる竜まで、はしゃいじゃって、全くもう……俺がしっかりしないと。 ふざけ始めた修斗さんも捕まえて、ビシャビシャで素っ裸なまま部屋に突入していく竜にバスタオルを投げ、どたばたしながら部屋に戻った。 ひと足遅れた俺は着替えを済ませ部屋の奥へ進む。 修斗さんと竜がベッドの上で向かい合って座り、竜が修斗さんの頭をタオルで拭いてるのが目に入った。 おいおいおい…… 「こら! 竜、修斗さんから離れて。俺がやるから」 「あぁ、康介ヤキモチ!」 修斗さんも楽しくなっちゃってるのか、酔ってもいないのにやたらとはしゃいじゃって、竜と一緒に面倒くさい事になってる。 「はいはい……修斗さんもちゃんと服を着て」 何で俺がお世話係みたいになってんだよ。でもまあ、楽しいからいっか。 竜は怠いからという理由で部屋に残り、俺と修斗さんは大浴場の方へまた温泉に入りに行く。大浴場の露天風呂も奥が洞窟になってる風呂とか変わった温泉もあったりして面白かった。 風呂をめいいっぱい楽しんでから部屋に戻ると、竜はベッドに入って寝てるようだったので、俺らはもう一方の寝室へ進む。 俺はベッドに座る修斗さんの隣に腰掛け、肩を抱きながらキスをした。 「康介……もう寝る?」 ちょこんと俺の胸におでこをつけながら可愛く言う修斗さんだけど、そんな可愛い事しないでほしい。 「まだ寝ないかな?……でもエッチはお預けですね」 「お預けとか言って無理だろ」

ともだちにシェアしよう!