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卒業旅行/誘惑

二人で小声で話しながらお互いの下腹部に手を伸ばす。自然に引き寄せられるように唇を重ねたその時、また竜の声に驚かされた。 「僕もそっちで寝る!」 のそのそと俺らの隣のベッドに潜り込んでくる竜に呆気にとられ二人で固まる。 「あ! 竜、竜がそこで寝るなら俺らはあっちの部屋に行くよ」 俺がそう言ってベッドから降りると、腕を掴まれ引きとめられた。 「え? やだ、何で行っちゃうの? 寂しいじゃん」 いや……だからさ、一体いつになったら通常運転に戻るんだ? 「いいじゃん、竜太君はそこで寝な。俺は康介と二人でこっちのベッドで寝るから。でもここは邪魔しちゃダメだよ」 クスッと笑って修斗さんがそう言うと「はぁい」と素直に返事をする竜。 「じゃ、竜太君おやすみ」 「おやすみなさい」 竜はすぐにベッドに潜る。修斗さんは俺の横に来て「そんなプリプリしてんなって」と言って笑った。 結局俺の使おうと思っていたベッドに竜が寝て、修斗さんのベッドで俺と修斗さん二人で寝ることになってしまった。腕枕をして修斗さんに抱きついたらムラムラしてきちゃったけど、すぐ隣に竜がいるからグッと堪えた。 そのうちウトウトと眠くなってくるし、修斗さんを見てもスヤスヤと眠っちゃってるし、いちゃいちゃしたかったのにクソッ! と思いながら、しょうがないから修斗さんの髪にキスをして俺も眠った。 どのくらい経ったのだろう── 夜中、ふと人の気配と物音で目が覚めた。 「んっ……あん……あっ……ふぅ……ん……」 ん? 何故だかすぐ至近距離からエロい声がする。 修斗さんはまだ俺の腕の中で静かに寝てるし、恐る恐るゆっくりと目線だけ声の方に向けると、いつの間にか帰ってきていた周さんの上に覆いかぶさるようにして竜が抱きつき、激しく揺れていた。 ……は? マジか!! 竜は全裸だし、服は着たままだけど下は脱いでる周さんの腰はめっちゃ動いてるし、声を抑えてるように見えるけど全然抑えられてないし、そもそも何でここでおっ始めてんの?? ここは突っ込んだ方がいいのか? あ……いや、もう竜は突っ込まれてるけどな……ってそうじゃなくて!! いやいや、今このタイミングで声かけちゃダメだろ…… やべえ、俺どうしよう。 てか修斗さんは? チラッと腕の中で寝ている修斗さんを見ると、バッチリと目が合ってしまった。 起きてるじゃんー! ヤベ……この人こういうの怒るんだよ。 俺が他の奴のエロい声聞いたりするだけでも凄い嫌がってたのを思い出し、不可抗力だと言おうと口を開いた。だってこれは声どころの騒ぎじゃない。 「修斗さ…… 」 「………… 」 咄嗟に修斗さんが手のひらで俺の口を塞ぐ。 「しょうがないよ、ここで声かけてやめさせるのも野暮でしょ……」 コソッと俺にそう言う修斗さんはフッと視線を逸らした。 いやいや……そういうもん? そんな事よりも…… 「修斗さん? 何かあたってますけど」 「うん……康介もここ、固くなってるよ?」 修斗さんが俺の腰に手を回し、わざと固くなったそこを擦り付けるようにして腰を揺らす。 待って、そんなことされたら我慢できなくなるじゃんか。 「あん……あっ、周さんっ……ふ……うっ……んっ、ちゅ……シて……」 「………… 」 竜ってばさ、もう少し声我慢できねえのかよ。 エロすぎる…… しかも可愛い。 チラッと見たら、竜とキスしてる周さんと目が合ってギョッとする。こっち見んな! と言わんばかりにメチャメチャに睨まれてしまった。 何だよ! 俺悪くねえから! どエロいの見せつけてくんのそっちだから! 何で俺が睨まれなきゃなんねえの? 「修斗さん……周さんムカつく……」 小声で修斗さんに抱きつきながらそう言うと、よしよしと頭を撫でられた。 「こっそりヤレるかもって思って俺、準備はしてあるよ……」 修斗さんに耳元でそう囁かれ、俺の股間は一気にマックス状態。 でも友達が真横にいるのに修斗さんの破廉恥な姿なんて見せらんねえし、声だって周さんには絶対聞かせたくない…… ……でもヤりたい。 「うぅぅ…… 」 俺の中の天使と悪魔が闘っている。 「どうする?」 上目遣いで俺を挑発するように、修斗さんの手は俺のものを撫でながら聞いてくる。 うん! 無理! 「修斗さん……声、我慢できる?」 「……わからない」 わからないとか言ってんなよ! 「ダメ。修斗さんの声、聞かせらんねえから」 俺は修斗さんの口を手で塞ぎ、布団の中でスウェットを脱がせた。

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