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卒業旅行/後悔

僕はどうかしてたんだ── 修斗さんは僕は酔っ払ってると言っていた。そう、修斗さんの持ってきたお菓子のせいだ……きっと酔っ払ってしまったから、あんなとんでもない事をしでかしてしまったんだ。 最悪なことに、昨晩の記憶はちゃんとある。その時の心境もちゃんと覚えている。 とにかく周さんがいなくて寂しかったのと、仲のいい康介と修斗さんが羨ましくてしょうがなかったんだ。 何で抑えられなかったんだろう…… 普通友達が恋人とお風呂でキスしてたら、見なかったふりしてその場からそっと離れるよね? 何で僕は一緒になってお風呂に入ったの? バカなの? 今更後悔してももう遅い。 でも酷いのはこの後だ。 康介と修斗さんの寝室にまで押しかけてベッドを一つ占領してしまった。疲れていたのか酔いのせいなのか、そのまま僕はすぐに眠ってしまったんだ。 どのくらい眠ったかわからないけど、誰かがベッドに潜り込んで来たのがわかって慌てて起きた。それが周さんだとわかった僕は嬉しくて抱きついてキスをした。 「心配したんですからね! もう……よかった。周さん怪我とかしてないですか?」 ホッとしたのと嬉しいのと、もう夢中で抱きついていたらエッチな気分になってしまった。周さんに何度もキスをされ、気が付いたら服を脱がされ体を弄られていた。 「竜太が煽るのが悪い……」 周さんに見つめられ堪らなくなった僕は周さんに跨り、いつもの調子でエッチな事をしてしまう。 だって横で康介と修斗さんが寝てるなんて、この時はすっかり忘れてしまってたから。 本当に信じられない! 朝方僕は周さんの腕の中で目が覚めた。 あぁ、帰って来てくれたんだっけ……そう幸せな気持ちになったのも束の間、すぐ隣のベッドで康介と修斗さんが抱き合って眠っている姿が目に飛び込んで来て、思わず小さな悲鳴が漏れた。 「あ……周さんっ、お……起きてください。ねぇ、ねえってば。ちょっと……! 起きてってば!」 この時一気に昨晩のことを思い出した。 そうだった! そうだった…… 昨晩は康介達も。 思い出したくなかった。 僕は周さんとエッチなことを始めてしまってしばらくしたら気が付いたんだ。隣で康介と修斗さんもエッチなことをしていることに。 びっくりしたけど、もう周さんに夢中になってた僕はそのまま素知らぬ顔して事を続けてしまった。あっちだって夢中なんだから、こちらのことなんか気にしてないと思ったから…… 今思えばとんでもない! 何で僕は気にしなかったんだろう。 みっともなく、はしたない事をしてしまった。 途中、ちょっと興味本位でチラッと覗き見までしてた。 恥ずかしい…… 見たことのない男らしい康介の姿にドキッとしたり、凄く色っぽく康介にしがみついて喘いでいる修斗さんにドキドキしたり。 僕ったら二人に合わせる顔がない。 今まで生きて来て一番と言っていいくらいの動揺を必死に隠して周さんを揺さぶり起こす。半分寝ぼけている周さんをベッドから引きずり出し、康介達を起こさないように静かに僕らは隣の寝室へ移った。 もうすっかり目が覚めてしまった僕は、またベッドに潜り込み相変わらずグースカ寝ている周さんを見ていて段々腹が立ってきてしまう。 ……だってさ、周さんは初めから隣に康介達いたのわかってたはずでしょ? 何で止めてくれなかったの? どんな神経してるんだよ。 僕は洋服に着替え顔を洗う。 今日は朝ご飯を済ませたら遊覧船に乗りに行くんだ。凄く楽しみにしてたのに、こんな気分になるなんて。 ……本当最悪。 自分のことは棚に上げ、僕の怒りはもう周さんに向いていた。

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