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卒業旅行/朝食
朝食を食べに、本館へと歩く。
周さんと修斗さんは、二人並んでいつもと何も変わらず楽しそうにお喋りをしている。それに比べて何となく僕と康介はぎこちなかった。
「………… 」
「………… 」
周さんと修斗さんの後ろを歩く。
康介は相変わらず赤い顔。さっきから僕の顔を見てくれない。
「康介、あの……ごめんね」
「お……俺も、なんかごめん……」
気不味いよぉ。
なんか話さなきゃ。
「あ!……康介はいつもああなの?」
「……?」
顔をのぞき込むようにして聞いてみたらやっと僕の顔を見てくれた。
「もうちょっと修斗さんに優しくしてあげても…… あんなに押さえつけたら……」
僕、びっくりしたんだ。
康介があんなに攻撃的で乱暴な事するなんて。修斗さん泣きそうになってた。口元押さえつけられて、修斗さん苦しそうだった。
……って! 気になったから思わず聞いちゃったけど、何でまた僕は昨晩のことぶり返してんだよ。
話題を間違えた!
僕が焦ると同時に修斗さんが僕らを振り返り吹き出した。
「あは! 竜太君のエッチ……大丈夫だよ。康介いつも荒々しいの。俺もそういうの嫌いじゃないから。昨日は俺の声、周に聞かれたくなかったんだって。だから口を押さえてたの。康介ってこう見えて凄いドSなんだよ。俺の事服従させるのが興奮するみたい。スケベだし。ふふ……心配ありがと」
「………… 」
余計な事を聞いてしまった。
また恥ずかしさが蘇ってきてしまい、僕は申し訳なくなってもう一度康介に謝った。
康介はというと、全然僕の謝罪なんか聞いてなくて、修斗さんの爆弾発言にびっくりしたのか、プンプンと怒りながら「余計なことを言うな」って修斗さんの口を塞いでる。康介は怒ってるけど修斗さんはいつもの調子でふざけてるから楽しそう。
とりあえず修斗さんがああやって開けっぴろげにふざけた言い方をしてくれたから、やっと僕の気持ちも軽くなってきて心から笑えるようになった。
もうやってしまったことは消せないんだから、いつまでもぐずぐず恥ずかしがっててもしょうがないよね。
後にも先にも、こんな恥ずかしい体験はもうないだろうし……
それにしても、康介の意外な一面。びっくりしたな。
バイキングの会場に着き、席を確認する。康介はまだ修斗さんとわちゃわちゃしてるけど、しっかり自分の分と修斗さんの分のお皿を用意して、甲斐甲斐しく給仕していた。
僕も周さんと一緒に料理を取りに行く。どれもこれも美味しそうで気がついたら沢山お皿に盛ってしまっていた。
「朝からこんなに食うの? 竜太」
周さんに心配される程の量。でも少しずつみんな食べたい。
洋食をひと揃え、和食も少しだけ……鮭の切り身が脂が乗ってて美味しそうだったので、ちゃっかりと白いご飯と味噌汁も付けて持ってきた。
「はい! 大丈夫です……てか周さんはそれだけでいいんですか?」
朝はそんなに食べない周さんだけど、それでも手に持っているお皿にはスクランブルエッグとプチトマトしかのっていない。
「あぁ、実はさ……昨日めちゃくちゃ食わされて何だか腹がもたれてんだよね」
パンをひと盛りカゴに乗せて戻ってきた修斗さんが、周さんの隣に腰掛けた。
「そうそう! 周、昨日はどう過ごしたの? 普通ついて行かねえだろ。知らない人について行かないってガキの頃教わらなかったのかよ。心配したんだからな……特に竜太君が、だけど」
本当、僕もそう思う……
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