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どうしてこうなった?

父side 『義父さん……愛してるよ、義父さん……』 そう言いながら、僕の血の繋がらない息子は、泣いているように見えた。 僕はどこで間違えてしまったのだろう? 最初に思い至るのは、高校生になる少し前だったか―― 僕を見詰める彼の目が、普通の『親子』に向けるそれでない事は、気付いていたんだ。 男同士の交際を否定する積もりは無い。 けれど僕達は、例え血が繋がっていなくとも、戸籍の上では紛れもない親子だ。 歳の差も二十歳以上ある。 倫理的に間違っているとしか、言いようがない。 きっと、今はただ、恋愛に関する興味が勝っているだけ。 そして、たまたま近くにいた『他人』の僕を、恋愛対象と勘違いしているだけなのだ。 頭が良い彼の事だから、その勘違いに気付いているはず。 だからこそ彼は、今まで何も言わなかったのだろう。 いや、全ては僕の想像だ。 もしもそれら全てがただの思い過ごしで、勘違いしたまま彼を注意しよう物なら、余計に彼を傷付けてしまう。 どう対処するべきか分からなかった僕は、卑怯にも彼から逃げてしまった。 いつも再婚した妻を間に入れて、できるだけ付かず離れずの距離を保つ。 察しの良い彼は、特に何も言わず―― いや、本当は何か言いたくても、言えなかったのだろう。 何も言わせないように、僕が距離を取ったから。 けれど本当は、彼を受け入れる事が怖かった。 ――昔の性癖を、知られてしまうと思ったから。 高校生の頃、性に奔放だった僕は、誘われるまま誰とでも寝た。 男も女も関係無い。 ただ気持ち良ければ、それで良かった。 最低な人間だろう。 それから、社会人になって落ち着いたのもあるが、僕は自分の性癖を隠すようになった。 特に妻と出会ってからは、彼女だけをひたすら愛し、連れ子だった彼の事も大切にしていたのに。 僕はどこで間違えたんだ? 妻が亡くなった時には、互いに距離を置く事が、もう当たり前になっていた。 それでも、父として最低限の事はしてきた積もりだ。 彼のために料理も覚えた。 だが―― 『俺……年上の男の人を、好きになっちゃったんだ……』 大学を卒業した彼の言葉に、最初は『やっぱり』と思った。 基本的な挨拶の他には、もう何年も彼と言葉を交わしていない。 こんなに距離が空いてしまって、いつまでも僕を好きでいるはずは無いだろう。 けれど、なぜか少しだけ、ショックだった。 好かれるはずが無いと分かっていながら、心のどこかでは、このままずっと一緒にいると―― とんだ思い上がりだ。 その後、部屋に戻った僕は、何をしていただろう? 気付いた時には、ベッドヘッドに両手を拘束され、タオルを咥えさせられていた。 『ごめんね、義父さん……でも、愛してるから……もう我慢できない』 そう言った彼の目が、情欲に濡れている。 その目を見た瞬間、僕の胸はドクンと高鳴った。 理由は分からない。 それでも、彼から向けられる好意が、素直に嬉しかったのだ。 それからは、彼の愛撫がもたらす官能と、なけなしの理性との戦いだった。 タオルで猿ぐつわを噛まされているため、口で「止めろ」と言う事ができない。 ただ一方的に与えられる快楽が、僕の身体を翻弄する。 そして勃起した彼のモノを挿入された時、不思議と嫌悪する気持ちは湧かなかった。 ただただ戸惑うばかりで、拒絶する積もりも起きない。 途中からはむしろ、押し寄せる快感に身を委ね享受していた。 達する瞬間などは、もうクセになりそうで―― 内に出された時、さすがに『一線を越えてしまった』とは思いつつも、それ以上の抵抗は特に感じない。 同時に、悩むのもやめた。 男同士も歳の差も、今では珍しくなんかない。 戸籍上の親子だからなんだ。 もともと血は繋がってないのだから、若い同性の嫁をもらったと思えば良い。 いや、現状からしてみれば、僕の方が嫁か? もうどっちでも良い。 受け入れてしまえば、全て楽になる。 その代わり―― 絶対に彼を逃がしたりしない。

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