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かくれんぼ②

でも、どこに?どこに隠れる? 隠れる範囲は、理科室や音楽室などがある特別棟だけだ。3階まである建物。 とりあえず そこに向かう。 もぅ、みんな隠れ終わっただろうか。 なんだか急に心細くなる。 関谷、どこに隠れたんだろ。 キョロキョロ良さそうな場所を探していると、何か、聞こえた。 「…ん?」 風に乗って、それは鮮明に僕の耳に届いた。 「…だ?どぉーこぉーだぁ?!」 ひあぉ!後藤君だ!! 罰ゲームの恐怖と、迫り来る後藤君の迫力に僕は慌ててそこにあったドアを開いた。 物置のような、教室。机や椅子、ロッカーなどが無造作に置かれている。 か、隠れなきゃ!!は、早くっ。 バタバタと、後藤君らしき足音も聞こえてきた。 あたりを見回し、目に入ったのはロッカー。 僕は小柄だからいける!! 追い詰められると人間、思考回路がどうにかなるもんだ。 バッとロッカーのドアを開くと… 驚いた顔の松田君がいた。 「あ」 驚いた顔の松田君はすぐに真顔になり、僕の腕を引いてロッカーの中に引きずり込んだ。 「…え?え?」 「しっ。後藤が近くにいる」 慌てて、手で口を覆う。 ゆっくりとロッカーのドアが閉まる。 昼間の教室なのに、一気に暗くなった。 どこにあるんだ、僕の心臓ってくらい、心臓が大きく音を立てる。 ほとんど喋ったことの無い人と2人っきり。 ってか、狭すぎて身動き取れない。 密室。密着。暗闇。 …関谷の顔が浮かんでは消えた。 やばい。泣きそう。

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