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第26話
日が傾き始めた頃、散らばっていた様子の男達が集結した。
「よし、皆、いるな」
ディーグが、顔を見回し、確認したようだった。
十数名の集団となった男達は、皆揃いの外套を着ていた。
腰には、剣を下げている。
ディーグも、エィウルスも、同様だった。
なぜ皆揃いなのか、疑問に思ったが、レイレスは黙っていた。
しかし見るばかりのレイレスに、ディーグが声を上げた。
「どうした?その顔は」
「…なぜ、皆揃いなのかと」
レイレスが口を開けば、ディーグはハッ、と一声笑う。
「皮肉なことにこれが一番動きやすくてね。それで皆、捨てないだけだ」
「な…」
それは答えになっていない。
そう言おうとして、その前にディーグが吹き出した。
「悪いが、お前は知らなくてもいいことだ。ガキ。…そら、出発だ」
歩き出したディーグに、男達は連れ立って歩きだす。
一歩出遅れたレイレスは、背後からそれを見た。
死神の群れ。
それらがいたなら、きっと、こう見えるのかもしれない。
出遅れたまま見ていると、一際高い後ろ姿が振り向いた。
銀の髪。
エィウルスだった。
刻は、日が落ちようとしていた。
一行は、小川を辿るように、その上流を目指し進んでいるようだった。
「神の裁き」はどれほど広大な谷なのか、木々の間から時折見えるその崖の端だけでは想像もできなかった。
本当にあの崖の上から落ちて死ななかったのか。
レイレスは、今一度身体を見た。
包帯の下の傷は、もう殆どが癒えた。
吸血が始まって、それは信じられない位加速しているようだった。
少女のような細い腕。
もう、どれだけ鍛え上げても無駄に終わってしまう。
それが、未来永劫、続くのだ。
レイレスは、前を行く男達を見た。
逞しく、鍛え上げられた肉体を持っていることは、外套を纏っていても明らかに分かった。
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