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第6話

 次の日、学校で僕はまた窓際の席で、消しゴムのかけらになっていた。  江田君は学校に来ていた。  でも、僕とは一言も喋らなかった。  僕のほうからも話しかけたりなんかしなかった。何を話せばいいか分からなかったし。  何より、僕にとって、自分から誰かに話しかけるというのはかなり敷居が高い問題だった。  ……江田君は、別人みたいになっていた。  姿とか、格好は江田君だったけど、まとっている空気みたいなものが違った。  間違っても、今、学校にいる江田君はしまぱんとか口にしないし、フィギュアのパンツを見て喜んだりしない。  エメクエなんかしないし、お茶についてたストラップがほしいなんて思ったりもしない。  昨日のことなんか、なかったみたいだった。  ひょっとして、  昨日のこと、本当は現実じゃなくて  僕の夢とか、そんな感じのものだったのかもしれない。  多分、そうだ。  今だって、教室の中の江田君は何人かのグループの一員で、世間話に盛り上がってる。  彼が、僕に話しかけてくることなんかありえない。  僕のことが好きとか、それこそ絶対ありえない。  じゃあ、昨日のは、僕の妄想だ。  そっか。  僕の妄想か。  じゃあ、江田君が昨日みたいだったらいいなって僕は妄想してたのか。  今日も、江田君の両耳には、青いピアス。  やっぱり、宝石みたいだった。

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