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第3話
彼に密かに憧れていた僕は信じられなくて戸惑う
「ごめんね…急に言われても困るよね…君には許嫁がいるのに…彼女を愛しているのだろう?」
違う。確かに許嫁はいた。しかし彼女には共に想い合う相手がいてその話は双方納得の上破談になったのだ。
彼女の相手はうちと遜色ないため誰も文句は言うまい
そもそもうちの方は私には継ぐ必要はないと兼ねてから言っていた。
私の好きなことを伸び伸びとして欲しいと言う皆の思いを受けそれなりに教養は身に付けさせて貰ったのだが未来は己で切り開くよう伝えられてきた
「本当に…僕でいいのかい?」
「え?」
「僕は君と同じ男で女性らしさの欠片もない僕でいいの?」
「君がいいんだ」
2人して微笑みあってどちらともなく口付けた
「ごめん。早急過ぎた。君の答えを聞いていないのにね」
「僕も君と同じ気持ちだよ。もうずっと君に焦がれているんだ。もう物心ついた時から…ずっと…」
「本当かい。」
「うん…夢みたいだ…君にこうして告げてもらえるなんて…」
それから穏やかに時は流れて大学も揃って卒業してそうして一緒に暮らすようになった。僕の両親は寛大で僕らの交際を容認してくれていたのだが使用人や取引先にはいい顔をするものは少なかった
そんな中で父が急逝し屋敷や会社を私が引き継がざるを得なかった。まだ経営を任せられる逸材は育っていなかったからだ
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