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第3話 番外②※
ルゥは鋭い眼光から目をそらせなくなっていた。
このまま何が起こるのだろうか――アゴに置かれた手が顔を下に向かせるのを阻む為、顔を背ける事も出来ない。
もし、もしもこのまま何かあったら、マールの前で何かさせられてしまうのだろうか――それだけは避けなければならない。
冷や汗が出る。息があがる。
拒むタイミングを計っている時……。
「な~んちゃってぇ♪」
マダラは手をパッと離した。状況が飲み込めないルゥは放心状態、いったい何が起こったというのか、さっきまでの研ぎ澄まされていた空気までいつのまにか無くなっていた。
「マダラさん、ご奉仕ってぎゅってする事なの?」
マールが質問をした。
「気持ちよくなってもらう。てやつかい?それはだなぁ」
小さな夢魔へ近づくマダラ――放心状態になっている場合ではない。
慌てて二人の間に入る。変な事をしたら、何があっても守る覚悟だった。だって此処に連れて来てしまったのは、自分の責任なのだから……
ルゥは構えた。だが――
「仕事してると疲れるっしょ?肩凝るんですわ~」
「……は?」
そう言いながら、腕と首を回してみせる男
「――ってなわけでオイラは疲れてるんで、肩を揉んでくれるかい?」
「うん!」
マールは、マダラの後ろへ回ると慣れない手付きで肩を揉み始めた。
少年の表情からして結構硬いのだろう、凄い力んだ顔をしている。
ルゥと言えば、何とも言えない表情をしていた。さっきまで味わっていた緊張感は何だったのか……そう言いたい顔であった。
「……んん……マダラさん……固い、よ…」
「そうかい?いや~気持ちが良いね~。毎日暇で暇で肩凝るんだよ」
(暇なのかよ)
気が抜けたのか、ルゥはその場で力が抜けたように座り込んだ。すると、とても良い笑顔なあの男が“こいこい”と手招きをしている。
「……」
あまり乗り気しないが、とりあえず側に行く。近づくと口が動いているのは分かるが、何を話してるかはよく聞こえない……。
「? 何を――!」
更に近づいた所を捕獲された。
「ちょっ!」
「――…」
そして耳元で何か囁かれ、その言葉にまた少し顔を赤らめる。
「え……!で、できねーよ…そんな、俺――ッ」
その話を聞き終わったルゥは慌てふためいた。
「おや?夢魔ならそれくらいしないと。ご主人様に、捨てられちゃいますよ?」
そう言われて少しドキッとしてしまった。そんな気持ちになった自分にも驚いたが、捨てられるのは、それは……この姿のままで、て事だろうか。
それは本当に困る。ルゥの姿で捨てられた場合は何も出来ない所か、食べていけるかもわからない訳で―― だからってコウの所に厄介になった場合は、生きた心地がしないし、妙に命に関わるこの話に言葉を失った。
「マール、助かったよ。気分爽快だねぇ」
マールの頭を撫でるマダラ
「これが、ご奉仕って言うんだ。分かったか?」
「ごほうし……肩をもみもみでトントンするんだね!」
なんだか話が丸く収まっている。
少しゲンナリしているルゥだが、答えが出た小さな子を見て少し嬉しくなった。
とても満足そうにしているマールを眺めていると、マダラがまた話しかけてきた。
「マールは何もしらない無垢な夢魔だ。純粋な夢魔が欲しいって客も多いんだ」
「え…?」
「調教なしなのが、たまらねーんだなぁ。だけど、あの子は来て数日でどうやってか脱走しちまった」
そこを伯爵に保護された流れらしい。
思っても見なかった上客にマダラが飛びついた、そんな辺りだろう。
その話を聞くと、売られずにシフォンの所に居られるのは、まだ救いがある――と思えてくるってものだが……思えるだけ、だが……。
「さ~って、忙しいんでね。さっさと、出て行ってくんな……」
(……暇だって言ってたくせに)
とりあえず、何もなく店を出れそうだ。
ちゃんとマールにも収穫があったし、ルゥ自身も夢魔の勉強を少しだけ出来た。
マールと二人で店を出ようと、ドアに手をかけた時
「あー……。そうそう、ルゥ!」
マダラに呼び止められた、と言うより初めて名前を呼ばれた。
何かを探してたらしく、店の奥から現れたそいつは、何かを投げてよこした。
軽い紙袋だ。中には何かが入って――
「これ、まさか……お、俺、やらないってば!?」
その中身を見てつき返そうとカウンターに向かおうとしたが、言葉は続いた。
「“口調”、気をつけな~。崩れてるぜ」
そう言いながら、ルゥを指差す。
最初は分からなかったがすぐに理解すると、先に外へ行ったマールの元へ走って追いかけていくのだった。
チリン…チリン……
さっきまでの賑やかだったのが嘘のような静かな店、男はカウンターにまた勢いよく座ると独り言を言う。
「ふぅ……。姉さんのモノに手を出したら、私が怒られちまうからなぁ。ま、でもからかうには面白い奴だ」
店を出るとマールはすぐ近くで待っててくれていた。
「マール!店でのボクの事なんだけど」
「ふぇ?」
何の事だろうと首をかしげるマール
「ほら、ボクの口調とか、ほらその悪かったでしょ?あれ、内緒にして欲しいんだけど」
マールから誰にばれるかわからない。それも怖いけど、もしもシフォンやコウの耳に入ったらと考えると、そっちはそっちで恐ろしくて仕方が無い。
「うん…。でも、ぼく『どっちの』お兄ちゃんも大好きだよ」
可愛い顔でそんな事言われてしまったら、ときめくしかないではないか――意味を簡単に説明すると、ボクと言ってる丁寧な時と、俺と言ってるカッコイイ(マールにとっては正義の味方)時、どちらも『ルゥ』として好きと、言ってくれたのだ。
ルゥは、マールにぎゅっと抱きついた。
「う~……。マール可愛い」
「うにゅぅ」
途中まで二人で仲良く手をつないで歩いた後、樹海の前でお別れをした。
今日はきっと何か伯爵に“御奉仕”をしてあげるのだろう。
家に着く頃には、夕方を過ぎていた。
だが今日はノエルは来ていたみたいだが、ちょうどすれ違いで帰ってしまった様子。
食事も終わり、夜になる。お風呂に入って洗い物済ませ
後は寝るだけ……の筈なんだけど――
「……」
ルゥは、ベッドの上で何かに対して格闘中。
骨董品屋で言われた言葉が忘れられない。
こんな姿になったのはシフォンの所為と、言いたいが傲慢な自分の性格が招いた。とも言える。
何だかんだで使役と言っても色々と不便なく出来るよう教えてくれているのも事実で――
何が言いたいのかと言うと
『たまには姉さん楽しませたらどうだ?使役なんだし、ご奉仕でも、おねだりでも』
あの時、耳元でそう囁かれたのは記憶してる。
そして今、もらった紙袋をベットの上で広げている訳で――
「……お、おねだり、て……こんなので……?」
袋からは出した……だから後は――覚悟のみである。
「試しだ、試しに付けるんだ」
――シフォンは通りかかった部屋から声が聞こえた。
何かボソボソ言っているようだが、よく聞こえない。その部屋はルゥの部屋、ノックをして部屋に入ってみる事にした。
「ッ!!」
驚いたルゥは慌てて側の毛布をかぶって丸くなった。まるで何かを隠すように
「…ルゥ、何をしてるんです?」
その声に毛布の中から顔の表面だけを覗かせてやってきた相手を上目遣いで見上げる。勿論、やってきたのはシフォンしかいない。
「えと……寝ようかなと、思いまして」
突然の事だった為、慌てて隠れてしまった。
まさか、こんな時間に部屋にくるとは思ってもいなかったルゥは、目を泳がせている。そんな毛布の中にいるルゥから見慣れない色がチラチラ見受けられた。それは、金色の髪とは異なる白い何か――
すると無言で毛布を取ろうし始めた魔法使い。
それに対抗して取られまいとルゥも抵抗をした。
「なな、何をするんですかシフォン様ぁ!な、何にもないです……てば」
「良いから、取りなさい……!」
包まってた毛布から無理やり転がり出される。と現れた姿にシフォンが珍しく驚いた気がする。
ルゥは今、変わった姿をしていた。
それは人間の世界では珍しくないもの――兎の垂れ耳(白)のカチューシャと尻尾の着いた下着のようなパンツ。そして、それをちょっと付けてみるだけのつもりだったのだろう…その為、上はパジャマのままだった。
恥ずかしいルゥは、顔を赤らめ目線を下に逸らしている。
「……えっと……これは……」
困った――何か言った方が良いのだろうか。
試しに付けてみて、そしてすぐ脱ぐつもりだったのに、着てすぐ、とても絶妙と言っていいタイミングに、相手が顔を出したのだ。
シフォンの側にには空になった紙袋、そこに紙が1つ覗いていた。
それを拾うと紙を広げてみた。
『姉さんへ 人間界の動物変化 道具らしいですよ。僕チンからの、ぷれぜんとふぉーゆー☆ byマダラ』
あいつは何を吹き込んだのかと言いたい表情をするシフォン。
とりあえずその紙を丸めてルゥを見る。
目が合ったルゥは淡々している。そして――
「………シ、シフォン様……ぼ、ボクと、その……」
覚悟を決めたのか、半ヤケクソなのか、可愛く首かしげて上目遣いだ。
「……そうですか、寝ないで私と遊びたいと――」
シフォンは上に着てた上着を脱いで捨てるとルゥに近寄った。
(うっ……シフォン、本気(マジ)な顔!)
その姿のまま少し後ずさる。
だがそれよりも早くシフォンが上にかぶさるように乗っかってきた。
「せっかくお似合いな格好です。お言葉通り、遊んで上げましょうか」
「――っ!!」
******
シフォンが背後から手をまわし、パジャマの中に手を入れる。
指は乳房に行き当たり乳首を軽く触った。その乳首を指で抓むと、ルゥは体を震わせる。
「や……ぁ……」
「ルゥは乳首が好きですよね。気が付いてました?」
そう言ってシフォンはルゥの体を後ろから自分に引き寄る。そのまま背後から覆う様な形で乳首を抓んだり 指で撫でたりして愛撫してくる。まるで、遊ぶように――
「ひッ……そこ、ば……や……っ」
「ふふ…可愛いですね」
段々とルゥも足が内股になってゆく……あそこも耐えられないのだろう。
(う、うそ……やだ、そんなまだ――)
耐えろと、内股に力を入れる…まさか自分が乳首だけで…前戯の間を通り越して、イキそうなんて考えたくない。すると、シフォンが首筋に口を当て軽く噛み付いた。
「いっ…いた……っ」
耐えてる気持ちと、痛みで涙が目に溜まってゆく
「ほら……好きでしょ?」
「――っ」
だけど、今日は流されるだけにはいかない、最初の頃とは違う。そう自分に言い聞かせる。
「シ……フォン様……ボクも、ご奉仕……」
たれた兎耳が相手の肌に当たる。
そのまま顔を相手の身体に擦り付けた。そしてシフォンの性器を手で触れると、ゆっくりと口へ――
した事があると言えばそうだが…
あれは無理やりだった為、自分からするのは今回が初めてだった。
「ん……ふっ…」
小さい身体にはシフォンのペニスは大きいのか、口に全ては入らなかった…
それでも、舌を使い 唾液を使い 出来るだけ…出来るだけ…
(シフォン……きもち…イイかな)
何だか…また身体が疼いてくる。自分の性器がジンッとむず痒い……
無意識なのか、腰が動く……そして、もの欲しそうな表情を見せながら相手のモノに触れる。
「……っ」
シフォンが、ルゥの腰に手を持ってゆく そして、パンツの中へ手を入れ蕾へ伸びていった。
「ひゃ……ぁん」
指が蕾を開くように入ってゆく
「や…やぁ……シフォ――」
「お口、止まってますよ……」
「うっく……っ」
涙目になりながらも、また不器用ながら口を動かし始める。
静かな部屋に 唾液の音が響く――
指は蕾をかき回すように、出入りしつつ…また広げるようにもう一本刺さる
「ひゃぁ……あ…」
「ルゥ……」
シフォンの手がルゥの口元へやってくる
「ん…――」
ルゥの身体がシフォンへ引き寄せられる…そして――
「ひゃぁ……ん……」
シフォンはパンツを少しずらすと 横からルゥの中へ入れてゆく……ゆっくりと、確実に――
パンツが引っ張られる…すると、自分の性器が擦れる……それが、妙な快感で。
「あぁ、シフォン……ッ」
あの時と違う身体の快楽……それを味わってしまうのが怖かった。
「大丈夫……さぁ、身を任せて」
あの時と同じセリフ……それがルゥの身体を痙攣させる。
「ふぁ……あ、あぅ」
動かされる身体は、絶頂を越える。
いつもは厳しいその相手が、だんだんと愛おしく感じてしまう。
(なん…だろ……おれ、へん…)
「ふぁ……シフォン……いっちゃ、ぅ……もぅ、やら――」
ルゥはシフォンにしがみ付いた。
******
身体が動かない……久々と言うのもあるが、ルゥは何度も いってしまった。
そんな自分が恥ずかしくて枕に顔を埋めこすっている。まるで赤くなった顔を隠すように
「ところで、今日はどうしたんですか?」
それを言われてギクッと身体を震わせる。そして枕から顔を少し上げ相手を一瞥した。
「それは――」
まさか、あれを説明しろと……恥ずかしくて顔がまた赤くなる
「今度は、お仕置きが宜しければ――」
「!!」
とても良い笑顔だ…これもまた本気だろう
「…む……だから」
「え?」
「む、夢魔だから…ご主人には、仕えないといけないって、言われて……だから……」
それだけ言うと、布団にもぐりこんだ。その言葉を聞いたシフォンは口元を緩ませた。
布団を軽くポンと撫でると言った。
「では……今後は、夢魔としての“仕事”も期待できそうですね」
「……え」
「もう少ししたら、教えていこうと思ってたのですが……手間が省けました」
もしかしたら、自分は早まったのではないかと少し思うルゥ…
「では、明日以降は、朝にでもお願いしましょうか…」
「――っ!!」
とても爽やかな笑顔だ…恐ろしい。
どうやら、“かなり”早まってしまったようだ……
(さて……アイツには、私が後で直々に天誅を与えに行きますか)
シフォンは、そう思った……それは、誰か―― 言葉にするのも可哀想だ
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