461 / 668

何処に消えたというのか!? 母親思いの護矢比古が何も言わずに消えるとは考えにくい。 「それで…?」 「………?」 「そ…、そのお母さんは…どうなるの…?」 バクバクする心臓を押さえながら、香久良は問う。 「このまま息子が見つからなければ、ここに連れて来ようかという話になっているけれど…。 香久良はそれで構わないか?」 「ええ。わたしは大丈夫。 間に合わせじゃなくて、今の体調に合わせて薬草を煎じることができるもの。 様子を見るよりも、早くここに連れてきてあげられないの?」 体調が優れない人を放ってはおけない。 それは香久良の本心だ。 約束を交わした護矢比古の母となれば、なおさら…。 「香久良がいいなら、直ぐにでも手配するが」 「心細いままじゃよくないわ。直ぐに診ないと」 「そうか。なら、迎えを出すよ」 「お願い」 寝起きする部屋を手配しながら、香久良は頬に手を当てる。 『わたし…、いま、どんな顔をしてるかしら…。 護矢比古とのこととか、知られていないわよね…? 変に思われなかったわよね…?』 姿を消した護矢比古。 なにかがあったのだろうか。 香久良に一言もなく消えるとは考えにくい。 母親も事情を知っているかどうかは分からないが、体調を崩しているなら寄り添っていなければ。 動揺は隠せないが、迎え入れる準備に勤しむことにした。

ともだちにシェアしよう!