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◆◇◆◇◆ 護矢比古の母を社に迎え入れてから、二週間。 初めは起き上がることもままならなかったが、香久良が調合する薬草と体調に合わせた食事で、少しだが症状が軽くなってきた。 「不思議ね…。 食べているものは家にあるものと変わらないのに…」 「一人で食べてると味気ないし、あんまり噛まないで飲み込むでしょう? だから、あまり体に良くないの。 ゆっくり気持ちを落ち着けて食べると、体によいものになるわ」 「そうなのね…」 なんとなく記憶の片隅になにかがあるのだが、思い出せない。 随分前に口にするもので注意を受けたような気がする。 そして、日々調合される薬湯の味…。 「もしかして、社で貰える薬草は…」 「……?」 「香久良ちゃんが組み合わせて作っているの?」 「え、あ、あの…」 口ごもる様子で得心がいった。 季節の変わり目に体調が良くないとき、護矢比古が社から薬草をもらって来ていた。 一回分ずつ小分けにされ、苦い時には混ぜて飲めるようにと花の蜜が添えられていたこともあった。 「ここに来てから毎日薬湯を飲んでるからかしら。 季節の変わり目に護矢比古が貰ってくる薬草と同じ味の日と、違う味の日があるのに気づいたの。 今日の薬湯は、季節の変わり目のと同じ。 香久良ちゃんの心がこもった味」 「………っ、…っ」 社の、奥向きにいる大人しか知らないこと。 里に住む誰も気づきもしないこと。 だが、効き目のよい薬草を揃えていたのは香久良なのだと護矢比古の母は気づいたのだ。

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