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「香久良!?香久良…っ!どうしたんだ!?」 倒れた香久良の元へ近づこうとするが、きつく拘束されていて叶わない。 「香久良…ッ!」 縄が食い込んで痛い筈だが、そんなことはもうどうでもよくて。 少しでも近くへ行こうと、護矢比古は必死でもがいた。 「香久良…っ、大丈夫か!」 「……護矢…比…」 「香久良…!」 ぷつり。 漸く縄がちぎれた。 「香久良…!無茶をするな…っ」 「護矢比古…っ、ごめんなさい…っ、わたし…っ、わたしの力が足りないから…っ」 格子ごしに抱き合い、両腕に力をこめる。 「いいんだ。もういい。 早くここから逃げるんだ、香久良」 「嫌よ!護矢比古だけを置いてにげるなんて出来ない! ………っう…っ」 「香久良?」 口許を押さえてうずくまる。 「どうしたんだ?具合がよくないのか?」 「大丈夫………ちょっと…時々…」 「……?」 「変なの。 時々眠くてしかたなくて、気がついたら部屋にいるの…。 いつの間にか寝てて…」 「ほかに、何かないか…?」 「………気持ち悪くて…」 「…………!?」 もしかしたら…。 考えたくない事が頭をよぎる。 薬草のなかには眠気を誘うものが無かったか? 「香久良…? 月の障りは来ているか?」 「さわり…………? ……………そういえば、………来てない…」 「…………っ」 嫌な予感は、多分当たっている。 護矢比古は唇を噛んだ。

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