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「宮司さまが私を気遣ってくださるのはわかります。
でも、やはり咲耶が心配なのです。
お願いです。何か策があるなら私に授けてくださいませぬか……?」
「………………い~や~で~す~ぅ」
子供のようにそっぽを向く宮司に、咲良は尚も食い下がる。
「宮司さま。
″いや″ということは、なにか策があるのですね?
無いとはおっしゃらなかった。
有るのですね?無いとは言わせませぬ!無くても有るとおっしゃってくださいまし!早く教えて下さいまし!時間は限られてるのです!まごまごしていたら時間切れで咲耶がもぎゅもぎゅされてしまうではありませぬか!
さあ、とっとと白状なさいませ!吐かないと、わたくしは宮司さまに大好物のぷりんをあげませぬ!」
「………………っ!
そ、それは汚いですよ、咲良!」
「「ぷ、ぷりん……?」」
「ふふん、あなた方はご存知ないでしょう?
咲良さんの拵(こしら)えるぷりんは、つやつやでぷるぷるで、あまあまのとろとろなんですよ。
就寝前に食べる咲良さんのぷりん……それがあるから私は毎晩スヤスヤ眠れるんですから」
優越感に浸る宮司に、咲良はさらに食い下がる。
「宮司さま、一生に一度のお願いを聞いてくださるなら、わたくしは魅惑のばけつぷりんを作りまする」
「………ば、………ばけつぷりん……っ!?」
キラリと宮司の両目が光った。
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