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◆◇◆◇◆
咲耶と咲良の役目を入れ替える。
策を練るのは宮司だ。
「贄送りの儀に合わせて策を練りますので、俗世間の雑多な気を持つものは邪魔です。
可愛い咲良さんを独り占め出来る時間も残り少ないんですから、邪魔者はさっさとお帰り下さいな」
パチンと指を鳴らすと、傍に控えていた式神が両親を玄関へと運んで行った。
文字通り、摘まみ出しだ。
「さ、私のやる気を引き出せるかどうかは貴方にかかってますよ、咲良さん。
ふっふっふ……」
「………………はいっ」
やる気を出した宮司の仕事は早かった。
二卵性の双子である二人の繋がりを弱め、今まで咲良へ向けられていた呪(まじな)いの流れを遮断する。
それによって生じる返(かや)しの風が、咲耶へ向かわないよう形代(かたしろ)を作っていく。
「禁域で血を流す訳にはいきませんからね、代わりに貴方の髪を数本頂きましょうか」
「はい」
生まれてから一度も鋏を入れていない髪だ。
咲良そのものと言っていい。
艶やかな銀髪が取り込まれ、形代は完全な身代わりの護符になった。
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