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翌日。
「な~ぁ~、本当に行くのか?」
咲良を手伝う付喪神が、プリン用のカップを並べながら呟いた。
「……ええ」
「さくらは行く必要などないのに。
ずっとこの宮で皆と一緒に居ればよいのです。
主(宮司)もそれをお望みですよ」
牛乳を鍋に注ぎながら、宮司の式神も呟く。
「…………そういう訳にはいかないですから……」
「なんで?なんでだよ!
鬼に食べられるのはお前の姉貴だろ?
双子の縁切りまでして贄送りされる意味が分かんないぜ」
「そうです。
わざわざ返しの風避けの護符まで作って、あのキーキー煩い娘の身代わりをするんですか。
理解できません」
「…………お願いだから……咲耶を悪くいわないでください。
咲耶は、本当は優しい子なんです。
この痣を治したい、体が弱い咲良を治すんだと言って、将来はお医者様になるのだと頑張っているのですから……」
「「………………」」
「負担を押し付けるのをやめれば、さくらは今にでも痣の無い子になります」
「そうだ。
今まで引き受けた災難を返しちゃえばいい。
その護符をさくらの身代わりにして、姉貴を送っちゃえよ。
そしたら、おまえはずっとこの宮にいられるだろ?」
「15年分を一気に戻すことはできません。
そんなことをしたら、咲耶だけでなく……皆も大変な事になってしまいますもの……」
卵をかき混ぜる咲良は、俯いたままだ。
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