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「主だけでなく、私も付喪神も、さくらが可愛くて仕方ないのです。
乳飲み子の頃から慈しんできたのに、横合いからかっ拐われるのは面白くない。
鬼が大群で押し寄せようとも、我らはさくらを守るだけの力があるのだし」
「そうだ、そうだ!全面戦争だ!」
足元でも、小さい付喪神と式神達がきゃわきゃわ騒ぎだした。
「だめです。
鬼と言われる方々は、境界の緩みを抑えるお役目をされてるのですから、みだりに争うのはいけません」
「「でも……」」
「俺達は、さくらがいない世界は嫌だ」
「俺もヤだ」
「私も嫌だ」
「………………わたくしも、皆と離れるのは嫌です。
でも、それを貫けば咲耶が死んでしまいます」
「だからって、さくらが生け贄になるのはおかしいだろ!
駄目だ駄目だ!やっぱりさくらはここにいなきゃ!」
式神達も付喪神達も「駄目だ」「行くな」と咲良を責める。
だが、咲良の意志は固かった。
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