40 / 668

「おいおいおい……。 白髪で顔に彫りモノなんて、聞いた事がねえぞ」 「志朗ッ!!」 「…………っふ……」 時雨が声を荒げたことで、咲良が少し身動ぐ。 「だってそうだろ? 跡取りじゃねえけど本家の息子の嫁になる女が、よりによって顔に刺青入れてるなんてあり得ねえだろうがよ。 こんな不ッ細工なガキ、早く返した方がいいんじゃねえのか?」 「………………っ、志朗……お前」 「時雨、そこまでにしておきなさい。 花嫁がびっくりしているからね」 「「………………っ」」 守弥の腕の中で、縮こまる花嫁。 守弥だけでなく、時雨も志朗も鷲志も言葉を失った。 「ここは………………」 怯えながらも周囲を見回す花嫁の瞳が、鮮やかな緋色をしていたから……。

ともだちにシェアしよう!