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「おいおいおい……。
白髪で顔に彫りモノなんて、聞いた事がねえぞ」
「志朗ッ!!」
「…………っふ……」
時雨が声を荒げたことで、咲良が少し身動ぐ。
「だってそうだろ?
跡取りじゃねえけど本家の息子の嫁になる女が、よりによって顔に刺青入れてるなんてあり得ねえだろうがよ。
こんな不ッ細工なガキ、早く返した方がいいんじゃねえのか?」
「………………っ、志朗……お前」
「時雨、そこまでにしておきなさい。
花嫁がびっくりしているからね」
「「………………っ」」
守弥の腕の中で、縮こまる花嫁。
守弥だけでなく、時雨も志朗も鷲志も言葉を失った。
「ここは………………」
怯えながらも周囲を見回す花嫁の瞳が、鮮やかな緋色をしていたから……。
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