44 / 668
・
何処からどう見ても女子にしか見えないのに、本人は男子だという。
あわあわする咲良をなだめ、ばあ様が呟く。
「そこらにいる女子よりも、余程女らしいのにねぇ……」
「確かに。
うちの姉さん達や分家の撫子に比べたら、遥かに女子だよね」
「あいつらは、ガサツというより乱暴者だ……」
姉達や従姉妹の撫子から受けた過去の仕打ちを思い出し、ブルリと身を震わせる。
乱れた銀髪をばあ様が櫛で整えているのを見ると、本当に男子なのかと思う。
長い睫毛に長い髪、通った鼻筋にプックリした唇。
巫女服のせいか、儚さを漂わせる出で立ち。
なよなよしてはいないが、優美さがある。
「何処からどう見ても女子だよ……。
どうすんの、兄さん……」
「どうすると言われてもな……」
なんの気はなしにお茶を口に含んだ瞬間、
「お疑いなら、触ってお確かめになりますか?」
ぶふうっ!
絶妙なタイミングで出た咲良の言葉に、守弥と時雨は茶を噴いた。
ともだちにシェアしよう!