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大好きで、いつも咲良にせがんだ。 宮司に作るのと別に、自分たちにも欲しいと。 「わたくしのぷりんでよろしいのなら、幾らでも作ります。 さ、たんと召し上がれ」 ニコニコしながら、沢山のぷりんを作っていた。 ウキウキしながら食べていたのに、今日は何故か手が止まる。 「食べるの……なんか辛い」 「でも、せっかく咲良が作ってくれたんだよな」 お互い見合わせて、一斉に匙を入れることにする。 「「いっせーの、せ」」 ぱくん。 皆で揃って口に入れた。 甘い。 いつも通り甘い。 だけど。 少しだけ、しょっぱい。 「咲良……」 「ふえぇ……っ」 甘くて美味しいから、余計に辛い。 付喪神も式神も、ぼろぼろ泣きながらぷりんを口に運ぶ。 咲良が作ってくれた最後のぷりんは、涙の味がした。

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