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「ふざっけんじゃないわよ! 生け贄になるとか、鬼に食われるとか、そんなもんアタシが自分で決めることでしょ!! 勝手に話を進めてんじゃないわよ! 何考えてんのよ、出てきなさい咲良!!」 叫ぶ度、空気がビリビリと帯電していく。 わかるのだ。 見えなくてもわかっている。 宮にいる付喪神も式神も、咲良がいなくて怒っているのだと。 そして。 咲耶を思って旅立ったのに、当の咲耶がぶち切れているから。 「咲良!出てきなさいよ!!」 「……………………………………咲良咲良と騒がしいですねぇ……。 淑やかさの欠片もないし、煩いし。 だから貴女は好かないのですよ」 「………………っ!」 気だるげに壁に凭れる宮司は、ちろりと視線を向けた。 絶対零度の冷ややかさを添えて。

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