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巫女服に着替え、音を立てずに部屋から出る。
居間はひっそりしているし、結界もまだきっちり張られたままだ。
迂闊に出歩いて守弥に迷惑をかけるのも本意ではない。
縁側に腰掛け、空を見上げる。
「どうしたら宮司さまと連絡が取れるでしょうか……」
昨夜は動転していたから、弱い風しか作れなかった。
強い風を作れば、泉の回りにいる付喪神か式神が気づいてくれるかもしれない。
より強い風を作るなら、どうすれば良いのか。
石庭に降り、桜の花びらで水面が閉ざされた泉を覗きこむ。
「ほぼ円形に近いのですね。
わたくしのいた宮の泉と瓜二つ……」
岩の上をヒョイヒョイと跳ねて行き、全体をもう一度見渡す。
強めの風を起こせば出来そうな気がするが、守弥とばあ様を起こしてしまうことに気が付き、思いとどまった。
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