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地面から空へ向かって差し出す手が、微かに風を起こした。
振りかぶって風をつかみ、微風を小さな小さな渦に変える。
歪みの無い、綺麗な渦。
咲良が起こした渦は、こちらの世界との拒否反応が見られない。
両手で渦を包み、一気に引き伸ばす。
「………………」
引き伸ばした渦は、咲良の手足の動きによって流れとなり、結界の中でつむじ風のようになっていく。
二重に張った円の中で、流れの勢いが増す。
だが、決して鎌鼬のような切り裂くものではなかった。
『大丈夫。
此方の世界との反発は見られない……。
ならば、誰をも傷つけずに彼方の世界と結べるかもしれない……』
そう感じた瞬間、渦を巻いた風がほどけていく。
「あ…………っ」
ほどけた風が反発したまま、咲良を結界の外へ弾き飛ばした。
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