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◆◇◆◇◆ 「………………?」 夢現の中、手の甲にさやとしたものが触れた。 いつも布団に潜り込んでくる猫とは違う、さやさやとした感触。 絹糸のような、艶やかな手触り。 初めて触れるのに、ずっと待ちわびていたような気がする。 その心地よい手触りを離したくなくて、恐る恐る指で梳いてみたり、やんわり指を絡めていく。 「…………ん……」 子供特有の高い声すらも、何故か心地よい。 不思議なくらいに。 右腕で華奢な体を包んでやり、左手は絹糸の感触を楽しみながら頭の方へ滑らせる。 うなじを撫でてから耳殻に指を這わせていくと、胸元にため息が当たった。

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