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ずくん。 「………………ッ!」 服地を通してため息が触れただけなのに、ツクリと体の芯に疼きが走った。 今まで、こんな風に熱さを感じたことなどない。 付き合った相手と熱を分け合った時でさえ、血流が逆巻いてしまうような感覚になっていない。 なのに、今は。 形の良い耳殻を指でなぞって、ため息を引き出す事がうれしい。 「………あ……」 まだ幼さの残る声が甘さと熱を帯びていけばいくほど、守弥も心が沸き立っていく。 漸く捕まえた、永久を固く誓った相手のようで……。 離したくない、と。 守弥は腕に力を籠めた。

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