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「それっ」
ひょいっ。
差し出した腕を咲良がかわす。
「うりゃっ!」
ひょいっ。
下からの流れるような蹴り出しをフワリと飛んでかわす。
「うりゃりゃっ!」
ヒョイヒョイっ。
格闘ゲームもかくやと思われるような連続蹴りも、咲良は綺麗に避けた。
「せいっ!」「はっ!」
交代で繰り出す攻撃が、今度は絶妙なコンビネーションへ変わる。
それでも、咲良は避けきった。
「ほう………………。やるな、あの式神」
三人のやり取りを見ていた父が、ゆらりと立ち上がる。
「二人が駄目なら、三人はどうだ?」
波状攻撃の流れがかわり、お盆を防衛しながらの攻防は辛くなったのだろう。
三人の拳をかわすと、素早く小鉢を配って回りった咲良はテーブルの下をくぐって父の足元へ走る。
「はっ!」
「おぅ」
袖を振り上げた事で視線が逸れた。
その一瞬を見切って股下を潜り、父の背後へ抜けた。
「やるな、式神ッ」
ばしぃっ!
「そこまでだ」
綺麗な軌跡を描く蹴りを受け止めたのは、咲良を肩に担いだ守弥だった。
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