108 / 668
・
「………………?」
ごっきゅんという音は、一つではなかった。
真ん前に座っていた母だけでなく、後ろにいた姉たち、弟妹までが生唾を飲み込む音を立てたのだ。
室内に渦巻く異様な雰囲気に戸惑い、咲良は小首を傾げる。
何故だろう。
先ほどまでは普通だったのに、守弥と時雨とばあ様以外の全員の目が爛々と輝いている。
それだけではない。
呼吸が乱れ、体はフルフルと震え、手がわきわきと動いているのだ。
「か、かわ……っ!心臓がバクバクする……!」
「すげぇ……、ケモ耳無ぇのが嘘みてえ!」
「うさ、うさこ!」
「目がウルウル………!萌え!」
「マジか、マジなのか!兄貴の嫁可愛すぎだろ!」
「やば!ちょっと、抱っこさして!」
「うお!鼻血!!」
「………………?」
「「ふおおおおっ!!」」
理解できなくて小首を傾げた咲良に、再び皆が萌え転がったのだった。
ともだちにシェアしよう!