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「やっぱりねぇ」
家族の反応は時雨の予想通りだった。
そう。
小動物っ気満載なものに弱いのは守弥だけではない。
家族全員が弱いのだ。
「咲良ちゃんっていうのね?
今日から私がおかあさんよっ!ささ、お膝に来て来てっ」
「狡いぞ母さんっ、俺にも抱っこの権利が……っ」
「うさこ、抱っこさせて!」
「俺も!俺も~っ!」
8人が総ウェルカム状態で両手を広げて迫ってくるのが怖くて、不安げに振り向く。
「……………………も、……守弥さま……?」
「来い」
「はっ、はい……っ」
程好く筋肉の乗った腕が包み込み、咲良もぎゅうとしがみついた。
「……ちょ、ちょっと守弥ズルいわよ!」
「何でそんなに自然にくっつく訳?」
「うさこ、兄ちゃんより俺に来てよ!」
「咲良ちゃん、おかあさんよっ!来て来て!」
「アタシにも抱っこ!兄ちゃんばっかりズルい!」
「………………やらん」
「「……はぁ~~っ!?」」
「怯えてるだろう?
少しは引け。いつも押しが強すぎるんだ」
「「あ………………」」
守弥の視線を追うと、潤みながらも見つめる緋色の瞳があった。
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