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風は、咲良の周りをゆるりと取り巻いた。 …………チリ………チリリ……。 心臓の真上に置かれた鈴が微かに鳴る。 チリ……チリ……しゃあん……っ。 …………しゃあん……、しりぃん……っ。 「おばあちゃま、守弥の鈴が……っ」 「聞こえておるよ。そのままにしておいておくれ」 それぞれが単純な音色ではなく、可愛らしい音色や荘厳な音色が重なって複雑な音を奏でており、咲良の鈴が音を響かせれば守弥の鈴が穏やかに応える。 しゃあんっ、………チリ……チリリィン……っ。 守弥の鈴が誘うように鳴り響けば、咲良の鈴が従うように応えた。 小さな鈴が立てる音量を遥かに越え、宮全体に響き渡っている。 「こんなに複雑な伴鳴りは見たことがないねぇ……。 どれどれ……。見極めてみようか。 風よ…吹きませい!」 咲良を取り巻いていた風が流れを変え、守弥の周りも吹き抜ける。 それぞれを取り巻き、そうっと持ち上げた。

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