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仰向けからほぼ直立の体勢になった二人。 風の力で、床の上に10センチほどフワフワと浮いたまま向かい合う。 「いいみたいだね……」 場が安定したのを確認し、ばあ様は懐から幾つかの球体を取り出した。 「あるじさま、それは何ですか?」 「石……?綺麗な色ですぅ」 「縁(えにし)の緒を見るためのものだよ。 それ……っ」 二人の間に放ると、宙に漂う鈴とともに風にのった。 しゃりいん、……しゃあん! 二つの鈴が響きあい、音に誘われるように石が震える。 チリ……チリチリ……、しゃあぁん! ふわぁ……っ! 一際大きな音が鳴り、漂う石が解けた。 「あるじさま、石が!」 「ほどけてしまいました!」 「大事無いよ。 縁の濃さや繋がりを見るためだからね」 紐状になった石は更に解けてヴェールになり、 ほんのり淡く光りながら守弥と咲良を包み込んで、二つの楕円の球体になった。

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