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「ゆるりゆるりとつつみこみ、ひかりひかりてえにしをうつせ。
いのちのえにしをうつしだせ……」
ばあ様の呼び掛けに応えるように、二つの繭玉は少しだけ強い光を放った。
無防備に眠る守弥の心臓の辺りには、何故かぽっかりと穴が開いたような色合いがある。
「………ふむ……、やっぱり生まれた時と変わらないねぇ……。
魂欠け(たまかけ)のままだ」
一方、向かい合わせで眠る咲良は違った。
心臓の辺りを蔓のようなものが取り巻いている。
「………まさかと思うけど……ねぇ」
蔓が取り巻いているのは魂の核だ。
その核の中心に息づく別のものは、対面している守弥の胸元に浮かび上がる部分とほぼ同じ形……。
「ばあ様、もしやと思うがあれは……!」
「驚いたねぇ……。
馴染みが深いとは思ったけど、咲良の魂の核に守弥の欠けた魂が隠れてるとは……」
その場にいた皆が言葉を失った。
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