116 / 668

「ゆるりゆるりとつつみこみ、ひかりひかりてえにしをうつせ。 いのちのえにしをうつしだせ……」 ばあ様の呼び掛けに応えるように、二つの繭玉は少しだけ強い光を放った。 無防備に眠る守弥の心臓の辺りには、何故かぽっかりと穴が開いたような色合いがある。 「………ふむ……、やっぱり生まれた時と変わらないねぇ……。 魂欠け(たまかけ)のままだ」 一方、向かい合わせで眠る咲良は違った。 心臓の辺りを蔓のようなものが取り巻いている。 「………まさかと思うけど……ねぇ」 蔓が取り巻いているのは魂の核だ。 その核の中心に息づく別のものは、対面している守弥の胸元に浮かび上がる部分とほぼ同じ形……。 「ばあ様、もしやと思うがあれは……!」 「驚いたねぇ……。 馴染みが深いとは思ったけど、咲良の魂の核に守弥の欠けた魂が隠れてるとは……」 その場にいた皆が言葉を失った。

ともだちにシェアしよう!