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「守弥っ、さくらっ、起きておくれ!」
ばあ様が呼び掛けるが、二人の意識は戻らない。
ならば、どちらかに集中して呼び掛けるしかない。
「どっちにしたら……」
焦りながらもばあ様は思案を巡らす。
年長者であり体格で勝るのは守弥だが、魂の核が欠けたままで力を制御仕切れるだろうか。
守弥の核を宿してそれなりに力を行使できる咲良だが、磁場を制御出来たとしても……風に弾かれた守弥を支えるだけの体格ではない。
「……どうしたらいいのかねぇ……」
渦を巻いた風の中に小さな稲妻が走る。
びゅうびゅう、バチバチと穏やかとは程遠い音しか聞こえない。
「ふえぇ……っ、あるじさま……っ」
「怖いですぅ! どうしたら良いのでしょう……っ」
童子達が泣きべそをかいて振り向いた瞬間……。
「「あああっ!」」
剥がれかけていた紗の繭が一気に弾け飛び、暴風は二人目掛けて逆巻いた。
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