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…………かくんっ! 「……っは」 急に堕ちる感覚から、一気に目が覚めた。 「…………?……?」 見渡せば、いつもの囲炉裏がある居間だ。 紗の森で咲良が泣いていたのも、背が伸びたのも夢であったらしい。 傍らで眠る童子の頭を撫でてやる。 「成長すれば、ああなるのか……?」 一人ごち、手を止める。 穢れを知らない長い髪、憂いを帯びた緋色の瞳。 鼻筋が通り、果実のようにぷっくりとした唇。 そして、可憐で儚げな風情。 「………………」 小動物っ気満載な今も守弥の庇護欲をそそるが、夢の中の咲良は……。 「まずいな……」 言うなれば、守弥の好みのストライクゾーン直球ど真ん中なのだ。 だが。 今の咲良は幼子そのもの。 手を出すことは犯罪行為だ。

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