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微かに睫毛に涙の粒がある。 そうっと指で拭うと、びくん!と華奢な体が跳ねた。 「…………?……」 守弥と同じように夢の中で堕ちる感覚になったのか、咲良も四肢を強張らせてから眼を開けた。 「…………?……?」 自分から見える範囲を見回し、傍らに守弥を見つけてほぅっと息を吐く。 「済まない。起こしてしまったな……」 「いえ……、大丈夫……です。 不思議な夢を見ていて、急に引き戻されましたゆえ……」 「不思議な夢?」 「はい。 沢山の紗がはためく森のような場所にいる夢でございました」 「…………っ!?」 まさか。 同じ夢を見ていた……? 「紗の森? どんな夢だったんだ?」 「はい……。 とても美しい紗がフワリフワリと。 でも、凍てつくような寒い場所でして……」 「…………」 「寒くて寒くて心細くて……。 しかも、心の臓のあたりがキリキリ痛くて怖くなったところに、守弥さまが……」 「………………」 やはり、同じ夢をみていたようだ。

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