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歴史の長い神社ということもあり、以前は歴女の女性が多かったのだが、最近は御朱印ガールなる参拝客が増えた。 ばあ様が対応していたが、週末や祝祭日には手が足りない。 なのに、守弥と時雨は毛筆が苦手。 父も祖父も同様。 宮で働く身内の男達全員が毛筆を苦手としていたのだ。 春の大祭の折、てんてこ舞いのばあ様と悪戦苦闘する守弥や時雨を見かねて、咲良が申し出た。 「よろしければ、わたくしにもお手伝いさせてくださいませ」と。 迷いなく走る筆。 だが、殴り書きではなく、丁寧かつ素早く書かれていく文字。 試しに半紙に書かれた文字を見て、大人達は瞠目した。 何とも流麗な文字がそこにはあったのだ。 「咲良、ばばに手伝っておくれ」 「はいっ!」 断る理由などなかった。 御朱印帳を咲良がほぼ一手に引き受け、他の手詰まりだった仕事に守弥達が専念出来るようになったのだから。

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