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『確かに色は不吉だけど、あの痣は嫌な感じが無いんだよねぇ……』
本人は頑なに不吉な印だと言い張るが、時雨には違うもののように思えるのだ。
漠然となのだが。
痣に変化が起きた後の守弥の力の安定ぶりから考えても、禍々しいものとは思いにくい。
『兄さんの魂魄の核……、取り囲んで守るようにしてた心臓とあの茨……。
砕けた封印と……咲良の止まってた成長が始まったこと……全部繋がってんだよね……。
何かがあるんだろう……何が……欠けてる……?』
様子を見てきたこの一ヶ月、不審なことは何一つ見当たらなかった。
『…………どう判断すればいいかな……』
咲良が来るまでの守弥は、術の安定が良くなかった。
境界の小さな亀裂を修復するにも難儀していたほどに。
それが、変わった。
咲良の痣に変化が起きる度に、僅かだが術が安定するようになったのだ。
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