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直接的に此方の界の裂け目を咲良は修復することが出来ない。
だが。
起こした術に手を添える形を取ると、守弥の術の軸が全くぶれなかった。
一時的に塞ぐだけの術ではなく、完全に裂け目を塞いで一筋の傷すらも残さない。
……寧ろ、強化するほどで。
惣領にしか出来ない術そのものだったのだ。
驚いたばあ様は、時雨やきょうだい達とも同調させてみたが、咲良が相乗効果を発揮したのは守弥にだけ。
魄の核を内包していることを除いても、相性が良すぎる。
『本人は否定してるけど、兄さんの相手は咲良で間違いないと思うんだよね……』
自らこの世界のものに強く干渉できないが、守弥と同調して術を増幅する咲良。
守弥の縁談を壊したことに対する贖罪の念が強いからこそなのだろう。
『魂魄の核が戻って本来の伴侶の立場になれば、廃嫡も取り消されて兄さんが次期惣領になる。
……咲良の命のリミットと、どっちが早いのかな……』
自分がどれだけ焦燥しても、事態が好転するわけではない。
それでも、願ってしまうのだ。
不器用だが心優しい兄と、家族想いの咲良の未来が長く続いてほしいと。
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