「なんかさ、そうやって兄さんにしがみついてるのも可愛いんだよねぇ……。 その服をギューッと握ってる手もさ、萌えな訳よ」 「…………」 「全幅の信頼って言うのかな、安心しきってくっついてるんだもん」 「………………っ」 頬を時雨にツンツンとつつかれ、咲良は反射的に守弥の胸元に顔を埋める。 「ね？ 実際さ、こういうのが堪らないし満更でもない訳でしょ」 「………………っ」 微妙に痛いところを突かれた守弥も口ごもる。 「咲良ってさ、兄さんには安心してくっついてるし、俺のこともあんまり拒否らないよね」 「………………」 「セクハラ紛いな触り方した時には流石に固まるけど、普通にギュウギュウしてる分には拒否しないもんね」 「え、そ、そうですか……？」 「うん。 何回か試してるんだけどね、普通にギュウギュウは大丈夫で、セクハラ紛いなのは駄目みたい。 でも、兄さんになら平気っぽい」 「………………守弥さまは、その……変なことをなさいませんし……、ギューッとされると……安心するのです……。 時雨さまは……、あらぬところを触られますし……。 でも、……なんと言えばよいのか………………、その……、……年上の方に使って良い表現ではないのですが……」 「ん？なになに？教えて、咲良」 口ごもる咲良を時雨が促す。 「でも……、お気を悪くされないかと……」 「大丈夫、絶対怒らないから。ね？」 「絶対……怒りませぬか……？」 「うん。約束する」 笑いかけると、咲良は息をひとつついた。