150 / 668

緋色の瞳を揺らし、暫し考えてから、咲良はゆっくり言葉を紡ぐ。 「………………あの、……甘やかさねばならない、と……」 「「………………はい?」」 咲良一言に、守弥と時雨が固まった。 ポツポツと話す咲良の言葉は、守弥と時雨にとって衝撃的だった。 年子の二人に対しての扱いが微妙に違うとは。 抱きつかれたままの守弥もどう反応したものか困惑ぎみだ。 「え、なになになに? 兄さんは安心出来る相手で、俺って甘やかされちゃうの?」 「……あ、はい……。 あの、本当は咲耶の……伴侶になる方に失礼なのかも知れませぬが、守弥さまは……大事にしたい方……で、お側にいると、とても安心できるのです。 時雨さまは、甘やかさねばならないと……。 何故かは分からないのですが……」 「ふぅん……、おもしろいねぇ……。 じゃあさ、姉さんや弟たちも? 咲良にとっては甘やかしの対象な訳?」 「……………………いえ……、守弥さまとも、時雨さまとも違いまする……。 あ、の……、安心できない訳ではないですし、大事にしたいと思います。 でも……、お二人とは少し違う気がいたしまする……」 「ふむふむ。 それは興味深いねぇ……」 「「………………っ!!」」 いつの間に来ていたのか、ばあ様がふむふむと頷いていた。

ともだちにシェアしよう!