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「で、どんな感じで……?」
「え……と、…………」
「「………………」」
守弥と時雨は言葉が出ない。
持ってきた縫いぐるみを、咲良は母親が赤ん坊を抱っこするようにしたのだ。
手元は少し危ういが、左胸に耳が当たるような体勢は間違いなく母親がするもの……。
「え、え?
ちょっと待って咲良。俺ってそういう扱いなの?」
「………………うぅ……。はい……、申し訳ありませぬ……」
「………………おもしろいねぇ……。
咲良にとって、時雨はそうなんだねぇ」
縫いぐるみを赤ん坊に見立てるのは流石に辛いが、それが時雨だという前提で抱っこしている咲良を見ていると、何となくしっくりくることに守弥も驚く。
「なるほどねぇ……。
母親に子供がじゃれつく感じなら大丈夫で、如何わしい触り方なら駄目なのも頷ける。
輪廻の何処かで親子だったことがあるのかも知れないねぇ……」
「…………わたくしが、時雨さまの……?」
「可能性はあるねぇ」
「え、じゃ、何処かの人生で咲良が俺のお母さんだったってこと?じゃ、兄さんは?」
「…………咲良が安心するってことは、親か兄あたりかねぇ……」
「おもしろいね、何処かで繋がってるかもなんてさ」
ばあ様は、敢えてもうひとつの可能性を隠した。
『親兄弟じゃなければ、恋仲にあったか夫婦であったか……。
輪廻を巡る間、……千年近くも魂の核を守り通して来たなら、そっちの方が近いのかもねぇ……。
変に意識されておかしくなるより、黙っておいた方がいいだろうし……』
ばあ様が呈示しなかったことに時雨も気づいていたが、いずれ折りをみて話すのだろうと踏んで追求しなかった。
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