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実は、雨の気配がする今日を選んだのには理由があった。 それは、銀髪と緋色の瞳を持つ咲良自身。 此方の世界ではアルビノと呼ばれるが、瞳も肌も紫外線に弱いとされている。 まだ医師から診察をしてもらっていないため、一般的な対策を必要だと踏んだのだ。 建物の裏側に近い場所に車を停め、屋根がかかっているところを選んで歩く。 「大丈夫か?眩しかったりしないか?」  「はいっ」 目がチカチカする気配も、肌になにか障っている感じもないようで、ばあ様も守弥もホッとする。 「あちこちから美味しそうな香りが……。 お醤油が焦げる感じの……。あとはお味噌の香りもいたしまする。 串に刺しているのはお肉やお魚……?」 香りを吸い込み、ほうっと溜め息をつく咲良。 見るもの全てが珍しく、興味津々で見つめている。 「やっぱり、連れ出して正解だったねぇ」 「あ、ああ……」 「衣裳を選ぶのもそんなに時間は掛からないだろうし、今日は色んなものを見せて回るといいよ」 「いいのか、ばあ様」 「子供が狭い世界に閉じ込められていて良いことなんか一つもないよ」 「…………」 パチンとウィンクしながらばあ様が差し出したのは、軍資金と書かれた封筒であった。

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