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「ふぅ……」
稚児舞いの衣裳を片付け、咲良は一息ついた。
ご乱心状態の時雨を宥めるのは骨が折れたが、なるべく細身のままでおりますと約束をしたことで聞き分けてもらえた。
それに、元々いた世界との道が繋がるまではなるべく事を荒立てるべきではないし、何より、守弥を困らせるような状況を作りたくなかったのだ。
「すまん。
いつもはああではないんだが……」
「いえ、その……、誤解を招く言い回しをしたわたくしが悪いのです。
ずっと幼い見た目で生きてきたところに、背が伸び始めたので……、その……」
「…………?」
「少しは安心して物事を任せても良いと思って頂けるのだろうかと……」
俯く咲良に、守弥はため息をひとつつく。
「見た目は関係無いと思うが」
「………?」
「よくやっていると思う。
ばあ様の手伝いだけじゃない。
御朱印帳や祝詞も引き受けてくれて、どれだけ皆が助かっているか……。
俺も助かっているんだぞ?
境界の裂け目を修復するのも覚束なかったのに、今ではしっかり修復出来るようになった。
充分過ぎるほど補助してもらえているし、助けになっている。
あまり自分を過小評価するな」
「………………っ。
わたくしは……、まだ……まだまだでございます。
もっともっとお役に立ちたいのです。
外の世界を知らずに生きてきましたゆえ、沢山の事を知って、守弥さまのお役に立ちとうございます」
「…………そ、そうか」
「はいっ」
縁談を潰してしまった贖罪の念もあるのだろうが、一生懸命尽くそうとするあまり頑張り過ぎることに、守弥は懸念を抱いている。
「気持ちは分かった。だが、無理だけはし過ぎるなよ」と返した。
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