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きょうだい達は咲良を構い倒したくて仕方なかったのだが……。 「う、うしゃこ……」 「遊ぶぅ……」 「抱っこぉ……」 「………………」 たらふく食べて睡魔に負けた。 「どうしましょう……。 これでは風邪を引いてしまいます」 「大丈夫。 そんなにやわじゃないよ。 一時間もすれば起きてくるだろうし、今の内に外を見ておいで」 「外……でございますか?」 「そう。 この外宮のことじゃなくて、世の中を見る。 守弥が準備してる筈……、ああ、戻って来たようだねぇ」 障子の向こうに見慣れた影が映る。 「行くぞ」 「はっ、はいっ。 おばあ様、ご尊父さま、ご母堂さま、いって参ります」 「「気を付けて」」 「はいっ」 なるべく足音を立てないように廊下に出る。 社務所から渡り廊下に向かい、雨をよけて車庫についた。 助手席に乗ると、守弥がシートベルトをかけてくれる。 「まだまだ時間はある。 見たことのないものを見に行こう」 「はっ、はいっ」 二人を乗せ、車は外宮から抜け出した。

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