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泳ぐにはまだ早いが、打ち上げられたビーチグラスや貝殻を拾うには丁度良かった。 珍しい色の硝子を見つけたり、黒曜石の欠片を見つけた。 「守弥さま、これは……?」 「ビーチグラスとも違うし、ほんのり力が籠っている…………。 翡翠の欠片かもしれないな」 「翡翠……?」 「宝石の仲間だな。 お前は珍しいものを見つける名人なのかも知れないぞ」 「………………っ」 珍しい色の硝子や石は、両の掌に余るほどになった。 車に戻って、桜貝とビーチグラスなどをそれぞれハンドタオルで包んでダッシュボードに仕舞う。 「海辺は不思議なものが沢山なのですね……。 海辺だけでも沢山のものがあるなら、もっと遠い海の底なら……、いえ、山や森の中にも不思議が沢山あるのでしょうね……」 「ああ。 俺も見たことが無いものが世の中には沢山ある。 …………そうだ、ここから少し行ったところに水族館があったな。 行ってみるか?」 「すいぞくかん……?」 「海の中の生物だけじゃなく、川や沼、湖の中の生き物がいる。 どうだ?」 「海も川も沼も……? わたくし、行ってみとうございます!」 「決まりだな」 守弥は車をスタートさせた。

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