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暫しクラゲの水槽を楽しみ、珍しい魚のエリアへ入る。 今度は密林の世界のようだ。 「…………? 何処にいるのですか?」 「この木の下にいるのが、それだな」 「………………?……………っ、なっ、なんと!」 横渡しにした木の下に、それはいた。 大きな影は守弥より大きい。 目を凝らせば、一匹だけではないのだと分かる。 「淡水……、川に棲む魚では最大の魚だ」 「なんと……!川の中にこのような巨大な魚が……?」 「卵から孵って一年で1メートル以上になる」 「一年で……?わたくしと同じくらいになるのでございますか?」 「記録に残っているものなら、4メートルを越えてるみたいだな」 「…………4……メートル……、そんなに……?」 まだまだ大きくなると聞いて、一瞬背中が冷たくなる。 こんな魚が身近な川にいたなら、丸飲みにされてしまいそうだと。 「安心しろ。 この国には生息していない魚だ」 「…………は、……はい……っ」 少し涙目になってしまった咲良を連れ、守弥は巨大魚の水槽から離れる。 ウニやヒトデ、大人しいサメなどが触れるタッチプールや、愛嬌をふりまくラッコやイルカを見たあと、守弥は土産物ゾーンへ足を向けた。

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